COBOLは1959年に事務処理計算用として開発されたプログラミング言語です。銀行システムの43%に使われ、ATMの95%が依存するなど、世界で2200億行のプログラムが稼働しています。IPAの調査でも開発現場で使われる言語の2位(16.3%)に位置する現役言語です。
一方でCOBOLエンジニアの平均年齢は45〜55歳とされ、人材不足が深刻化しています。保守コストの増大やシステムのブラックボックス化も課題です。経済産業省が指摘した「2025年の崖」に代表されるように、レガシーシステムからの脱却を迫られる企業は少なくありません。
ただし、IPAの「レガシーシステムモダン化委員会」は、レガシーかどうかは言語の古さではなく「ビジネスの変化への適応性」で判断すべきとしています。マイグレーションの要否は、自社システムの状態に基づいて検討する必要があるでしょう。
脱COBOLの大きなメリットが保守・運用コストの削減です。COBOL専任技術者の人件費は高騰傾向にあり、老朽化したメインフレームの維持費も負担となっています。Javaなどモダン言語への移行で、教育機関で広く学習されている言語の人材を確保しやすくなります。
クラウドネイティブ環境やAPI連携との親和性が高まり、DX推進を加速できる点も利点です。オブジェクト指向設計や豊富なライブラリの活用により、システムの拡張性・保守性の向上も期待できます。
実際に三菱重工業やパナソニックはCOBOL資産をJavaに移行しました。JALはマイレージ関連システムをAWSへ移行し、COBOLをJavaにリライトしています。JFEスチールも5000万ステップの基幹システムで脱メインフレームを実現するなど、移行事例は実際に複数見られます。
参照元:アクセンチュア|三菱重工業:1500万ステップ、4.5万本のCOBOL資産をJava変換し、脱ホストを実現(https://www.accenture.com/jp-ja/case-studies/technology/mitsubishi-heavy-industries)
参照元:IT Leaders|JAL、メインフレームのマイレージ関連システムをAWSに移行、COBOLをJavaにリライト(https://it.impress.co.jp/articles/-/27905)
参照元:アクセンチュア|JFEスチール:約5,000万ステップを擁す基幹システム刷新支援 (https://www.accenture.com/jp-ja/case-studies/natural-resources/jfe-steel-modernization)
COBOLマイグレーションには相応のリスクが伴います。数十年に一度の大規模刷新となるため、多額の予算や人材の確保が不可欠です。財務情報・顧客データの整合性を維持しながら移行する難易度は高く、基幹システムのダウンタイム最小化も求められます。
既存コードのブラックボックス化により、仕様の把握に時間を要するケースも少なくありません。ドキュメント不足や暗黙知の散逸が移行計画の精度を下げる要因となります。
移行手法によってもリスクは異なります。リライト(再構築)は柔軟な設計が可能ですが工数が大きく、自動変換ツールはスピードを重視できる反面、生成コードの保守性に課題が残ります。COBOLをJavaに機械的に変換する「JaBOL」方式はコストを抑えられるものの、COBOL風のJavaコードとなり長期的な保守性に懸念があるでしょう。「脱COBOL」を目的化せず、ビジネス適応の視点で手法を選定することが大切です。
COBOLシステムの未来には主に3つの道筋があります。ビジネスの足かせとなっている場合に段階的に他の言語やシステムへ移行する「脱COBOL」。COBOLのままクラウドやコンテナ、CI/CD環境に乗せて変化に対応する「利用継続(モダン化)」。安定稼働を優先し必要最低限の保守で使い続ける「塩漬け」です。
判断のポイントは「現行システムがビジネスの変化に適応できているか」「保守人材の見通し」「移行コスト・リスクとメリットの比較」の3軸にあります。脱COBOLはあくまで手段であり、真のゴールは「ビジネスの変化に適応できる状態」を実現することです。
COBOLマイグレーションは一律に推進すべきものではなく、自社システムの「状態」と「ビジネスへの適応性」に応じた判断が重要です。まずは現行システムの調査・分析から着手し、専門家への相談を通じて最適な移行戦略を検討されることをおすすめします。

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